今年5月から8月までに買って読んだ本を紹介してみたいと思います。今回はビジネス書系は比較的少なく、季節柄、山に関する本を多く読んだ気がします。
●IT/ビジネス書
「売れる力学」 佐藤昌弘/KKベストセラーズ
成功するためのマーケティングの秘訣を語った本で、ビジネスを展開する上でのいろんなヒントが書かれています。ただし全ての会社に通用する共通の成功の方程式は無いと言うことも確かで、著者も100社あれば解決策だって100通りあると書いている通り、この本はあくまでそれを見つけるためのヒントを与えてくれる為のものです。
「他人が作った山に登るのは大変だ。自分の山を探して頂上をめざした方がいい。」
うーん、確かにその通りだと思います。
「ITにお金を使うのは、もうおやめなさい」 ニコラス・G・カー/ランダムハウス講談社
本書は著者ニコラス・G・カーが2003年に「ハーバード・ビジネス・レビュー」誌で発表して大きな議論を呼んだ論文「IT Dosen't Matter」を基に、批判に対する反論等を追加してまとめた本です。ITが近年コモディティ化して競争優位になりにくくなっていること、またそういう時代ではチャンスより脆弱性に注目することなど、著者の主張を興味深く読むことが出来ました。全面的に賛同した訳ではないのですが、ITは全てを解決する魔法の杖ではないという視点を知る意味では読んで良かったと思います。
「起業バカ」 渡辺仁/光文社ペーパーバックス
起業を検討されている方に、「起業して成功するのは1500人に1人。世の中そんなに甘くない。」んですよと言うことが書かれた本です。中でもフランチャイズに関しては、安易に飛び込むととんでもないことになると言う厳しい現実が書かれていて、非常に参考になると思います。フランチャイズ方式で独立を考えている方にとっては、独立する前に一度はこの本を読んだ方が良いと思います。
ただし起業が株式上場と言った大成功のみを目標としてなければ、道はいろいろとあると思うし、必ず自分の領域も見つかるはずだと思います。
「平凡な私が月300万円稼ぐ7つの理由」 右近勝吉/東洋経済新報社
元祖便利屋の著者が自分の腕だけで月300万円稼ぐようになったそのノウハウをまとめた本です。サービス業のあり方についていろいろ考えさせられましたが、それにしても読んでみて久しぶりに夢がある本だなと感じました。また便利屋って意外に儲かるんだなというのにもびっくりしました(^^;。(もちろんやり方次第でしょうが)
上記の「起業バカ」と全く反対の視点と言っても良いかもしれませんが、でも凡人に徹することが出来るかどうか、ここが彼の成功のポイントだと思いました。
●文学書その他
「落ちこぼれてエベレスト」 野口健/集英社文庫
7大陸最高峰世界最年少登頂記録を樹立して、その後もエベレストの清掃登山などで活躍する著者の今までの自分を振り返った自伝です。冒険家植村直己さんへの思いを胸に、何回も失敗し挫折しながらも再び挑戦していくその姿は、読んでいて実に気持ちがよいです。
「エンデュアランス号漂流」 アルフレッド・ランシング/新潮文庫
1914年、南極大陸横断の探検に向かったエンデュアランス号が遭難。氷の海に閉じこめられてしまった英国人探検家シャクルトン率いる乗組員28名が、漂流のすえ全員が奇跡的に生還したのですが、本書はその一部始終を克明に記述した記録となっています。実話とのことですが、次から次へといろんな危機的状況に直面してそれを奇跡的に乗り越えていく様は本当に手に汗握る感じで、思わず一気に読み通してしまいました。
本書は優れた冒険記ですが、同時にこれは危機に直面した際のリーダーシップとチームワークの問題に関する良書であるとも感じました。私がリーダーだったらどう判断するだろうかと思いながら読んでいたのですが、ただ同じ判断はできそうにないと感じる場面も多々ありました(^^;。
「変な人が書いた成功法則」 斎藤一人/講談社+α文庫
斎藤一人さんの書いた本が無性に読みたくなって買ってみた本がこれです。ただ...、中身を見ずに買ったせいで、読んでみてあれっ?と感じることが一つだけありました。それはこの本の文章がいつもの斎藤一人さんの語り口ではなかったからです。どうもこの本は斎藤一人さんが最初に書いた本らしく、文章がやたら丁寧です(^^;。でも基本的な主張の部分は変わりません。
「自分を生かす人生」 本多静六/三笠書房
著者、本多静六博士は日本初の林学博士で、また畜財家として巨万の富を築いたのち、自分の信念に基づいてその多くを寄付されたことでも有名です。本書は30年近く前に発行されたものを改題・再編集して発行した本のため、内容的にちょっと古さを感じさせる部分があるのも確かです。でもキーとなる部分は今も昔も変わらないと感じます。例えば「職業の道楽化」、「全て"善意に解釈"すれば気持ちよく辛抱出来る」、「人は境遇に支配されてはならない。かえってその境遇を支配していく勇気が必要である。」など。
「日本百名山地図帳」 山と渓谷社編/山と渓谷社
書店でふと見かけて買ってきた本です。山と渓谷社創立75周年記念出版とのこと。私の登山は百名山を目指しているわけではないのですが、普段登っている長野県内の山以外にどんな良い山があるかなと興味を持ち買ってみました。ちなみにこの中で私が今までに登ったことのある山は、数えてみたら長野県内を中心に18山ありました。
なお現在の中高年を中心とする百名山ブームにとりつかれている人には、ぜひ以下で紹介する「傷だらけの百名山」シリーズも読んで欲しいと思います。
「続・傷だらけの百名山」 加藤久晴/新風舎文庫
以前に読んだ「傷だらけの百名山」の内容にいろいろと考えさせられるものが多かったため、その続編となる本書も買って読んでみました。リゾートブーム、山のレジャーランド化などが取り上げられていますが、中でもかなりのページを割いて書かれている4章「リゾート栄えて山河滅ぶ」の三国山系と苗場山のコクド絡みのリゾート開発の攻防は、これでもかというほど裏の面を見せられた気がします。
「新・傷だらけの百名山」 加藤久晴/新風舎文庫
「傷だらけの百名山」シリーズの最新刊となる本書も文庫本化されましたので、早速買って読んでみました。なお本書は「傷だらけの百名山」シリーズの完結編とのこと。ぜひこれにとどまらず、今後も百名山ブームの裏側、開発の裏側を取り上げた本をぜひ出して欲しいと思います。
「氷壁」 井上靖/新潮文庫
「氷壁」は山岳小説としてあまりにも有名です。もしかすると私も10代の頃に読んだかもしれませんが、その内容をすっかり忘れてしまっているため、今回初めて読んだと言っても良い状態でした。それにしても山好きというせいもあるかもしれませんが、ぐいぐいと物語の展開に引き込まれていき、実に面白い内容でした。また穂高、上高地と言ったなじみのある場所(ただし物語の核心部分の奥又白から前穂の東壁北壁はさすがに行ったことは無し)も多く出てきて、読んでいるといつしかその風景が自分の頭の中に広がっていました。
「子どもが育つ魔法の言葉」 ドロシー・ロー・ノルト他/新潮文庫
この本は子育てのバイブルと言える良い本です。「子は親の鏡」、確かにその通りだと思います。そして親も子どもからいろんなことを学ぶのです。小さい子どもがいる人にはぜひ一読をお勧めしたいです。対象は小さい子どもとして書かれていますが、家族の問題に置き換えても通用するものも多いです。