今回は私のお気に入りの本について書いてみたいと思います。
小学校から中学にかけての頃は、自然科学に関する本が何より好きでした。私が一番最初に感動した本として覚えているのは型破りな博物学者、南方熊楠の伝記でしたし、また昆虫記で有名なファーブルが少年少女向けに書いた自然科学入門書のシリーズは特にお気に入りで、かなりの部分をノートに書き写したほどでした。とにかく家の中で出来るいろんな実験を試してみたり、また植物や星空についてなどを調べてみるのが面白かったです。
そしてその頃は自分は将来は科学者になるんだと思っていました(^^;。
またそれ以外にもルパンや少年探偵団の様な探偵小説が大好きで、中学から高校にかけては読む本の半分以上は推理小説やSF小説だったように思います。中でもエラリー・クイーンの推理小説は謎解きの雰囲気を楽しむことが出来て、特にお気に入りでした。SFではレンズマン・シリーズやジュール・ベルヌのSF小説が強く印象に残っています。
一般文学では北杜夫(特に「どくとるマンボウ航海記」など)やヘミングウェイ(「武器よさらば」や「誰が為に鐘は鳴る」など)が好きでした。
そして時は流れて20代の後半になると、ちょうどアウトドアに熱中し始めたこともあって、その影響で野田知佑、椎名誠、C.W.ニコル、植村直己、田渕義雄など、アウトドア系の作家や冒険家の本をいろいろと読むようになりました。中でも野田知佑の「日本の川を旅する」と植村直己の「青春を山に賭けて」の2冊は、そんな私にとってまさにバイブルとも呼べる本になりました。これらの本を、河原に張ったテントの中あるいは冬山のテントの中で何回読んだかしれません。
また椎名誠の本も、特にあやしい探検隊シリーズを中心に良く読みました。最初にキャンプをしたくなったのは、彼の本の影響も大きかったと思います。
ではそんな私のお気に入りの本をいくつか紹介してみたいと思います。いずれも機会があれば是非多くの人に読んで欲しい本でもあります。
野田知佑「日本の川を旅する」
ツーリング派のカヌーイストなら一度は読んだことのある名著。私もカヌーを始めた頃はこの本の影響をかなり受けました。
野田知佑「のんびり行こうぜ」
ビーパルというアウトドア雑誌に連載されていたカヌーに関するエッセイを集めたもので、これ以外にも「ハーモニカとカヌー」、「カヌー式生活」、「さらば、ガク」など味わい深いエッセイ集が多数有り、いずれもお勧め。
植村直己「青春を山に賭けて」
日本を代表する冒険家だった植村直己の自伝。私が山に登ってみようかなと思い始めたのはこの本を読んでからだったように思います。他には「エベレストを越えて」、「北極点グリーンランド単独行」などもよく山で読みます。
椎名誠「わしらはあやしい探検隊」
椎名誠も多作な作家で沢山の本を書いていますが、私がいつも欠かさず買って読むのは「あやしい探検隊」シリーズの本で、これはそのシリーズの一番最初の本になります。この本を読んで無性にキャンプをしたくなったのは私だけでは無いと思います。
椎名誠「岳物語」
椎名誠が自分の息子である岳との交流を描いた私小説。少年の成長を描いた味わい深い小説で、いろいろと考えさせられるものがあります。
シェリダン・アンダーソン/田渕義雄共著「メイベル男爵のバックパッキング教書」
ハイキング、登山、アウトドア・アドベンチャーの楽しみ方について書かれた入門書で、私が最初にキャンプや登山を始める時にいろいろと参考になったものです。ちょっと内容的には古い部分もありますが、でも今でも十分に優れたアウトドアの入門書として通用する内容です。なお作者の一人である田渕義雄も良いアウトドア作家で、山で暮らした24ヶ月を綴ったエッセイ集「森からの手紙」も自然を感じることの出来るいい本です。
アラン・ムーアヘッド「恐るべき空白」
ノンフィクション作家アラン・ムーアヘッドの代表作の一つ。オーストラリア内陸探検隊の悲劇を描いたもので、文章のタッチや緊張感が素晴らしく、思わず引き込まれるように読んでしまいました。冒険小説の中でも最も優れた本の一つではないかと思います。
なおこの本に感激して同じルートを旅した椎名誠が書いた本「熱風大陸〜ダーウィンの海をめざして」も、緊張感は無いものの(^^; オーストラリアの自然をたっぷり感じることが出来る本です。
ロバート・キャパ「ちょっとピンぼけ」
世界的に有名な報道写真家ロバート・キャパの人間味あふれる手記。私自身写真家にはあまり興味がなかったのですが、この本を読んで報道写真というものに対する見方がずいぶんと変わりました。そして何より戦争というものについていろいろ考えさせられた本でした。
カーネギー「人を動かす」
これだけは最近になって読んだ本ですが、人間関係について書かれた古典的名著で、なぜもっと前に読まなかったのかと後悔したほどです。人を動かす三原則、人に好かれる六原則、人を説得する十二原則、人を変える九原則、幸福な家庭をつくる七原則から構成されていて、人間関係について悩んでいる人、またそうでない人にも是非一度読むことをお勧めしたいと思います。