振り返ってみると私のウインドサーフィン歴はもう20年ほどにもなります。
ここ5年ほどは年にせいぜい2回くらいしかウインドサーフィンをすることが無くなってしまいましたが、始めてから10年くらいの間は相当に熱中していた方だと思います。
過去、ウインドサーフィンでやばいと思った経験は何度かありますが、中でも一番ショックだったのは静岡の清水でセーリング中にマストが真っ二つに折れてしまった時でしょうか。
その時は確かもう12月に入った頃だったと思います。冬型の気圧配置が強まって北西の風がかなり強く吹いていて、まさにウインド日和の日でした。清水までウインドに行く時は何人か仲間で行くことも多いのですが、その時は一人でした。清水の海岸に着き、今日は思い切り乗れるぞとわくわくしつつ準備をし、ウインドを始めます。風は6.4平米のセールでジャストくらいでした。
そして悲劇はそんな気持ちよくかっ飛んでいる最中にいきなり起こりました。岸からだいだい500mほど沖に行ったあたりでした。突然セールもろともばさっと撃沈し、あれ?どうしたんだろうと思いながらもセールをボードの上に上げてウォータースタート(風の力で倒れたセールを起こし、同時に自分の体も水中から上げてもらう事)をしようとしたのですが、その時なんとマストが真ん中辺から見事に真っ二つに折れてしまっていることに気づいたのでした。
過去に各部の細かい損傷はいろいろありましたが、マストの損傷はこれが初めてでした。
この状態ではそれ以上セーリングするのは不可能でしたので、その場所からどうやって岸まで戻るかを必死で考えました。セールからマストとブームを外して全部畳みボードの上に置き、その上に寝てパドリングして帰るという方法が一番確実かと思われたのですが、小さなスラローム艇の上にそれらの道具を全部載せるとかなりバランスが悪くなり、おまけに波や強風の影響もあってうまくパドリングすることが出来ませんでした。
それでも必死にパドリングでもがいていると、近くをウインドサーフィンで通りかかったおそらく地元と思われるウインドサーファーが二人、私の状況に気づいてくれて、セールやブームなどを彼らの比較的大きめなオールラウンド艇にくくりつけて岸まで運んでくれ、私もボードごと牽引してくれたのです。
あの状態で一人でもがいていたら岸までたどり着くのにどれだけかかったことか知れません。(もちろん最悪の場合は道具は捨てる覚悟はありましたが)
本当に助かりました。
岸に戻って折れたマストをよく見てみると、そのマストはアルミ製でしたがかなり前から内部で腐食が進んでいたようです。ただ外側までは腐食が進んでいなかったので、外見ではそれが分からなかったのです。
次にもう一つ、道具のトラブルとしてジョイント部(セールのマストをボードに接続する部分)のゴムがちぎれてしまった事もあります。
それはウインドサーフィンを始めて2年後くらいの夏、富士五湖の一つの西湖で仲間とウインドをしていた時に起きました。気持ちよい風に乗ってセーリング中、いきなりセールと共に飛ばされて沈してしまったのです。ま、良くあることですので(^^;、いつも通りにボードの上でセールアップ(ボードの上に立って水に沈んでいるセールを引き起こすこと)しようとした時、初めてボードとセールがつながっていないことに気が付いたのです。そう、ボードとマストをつないでいたジョイントと呼ばれる道具の要であるゴムの部分が完全にちぎれてしまっていたのです。
現在のジョイントはすべて、ゴムの部分がちぎれてもジョイントとマストが離れてしまわないような仕組みになっていますが、当時私の使っていたジョイントはかなり初期のもので、そういう仕組みが組み込まれていなかったのです。
まだ岸までずいぶんとあるし、どうしようかと悩んだのですが、使っていたボードが比較的大きめのオールラウンド艇だった事が幸いし、ボード上のジョイント部にかろうじてマストを引っかけるようにしてなんとかセールアップ出来ましたので、その状態で風をわずかづつセールに入れながら、一番近い岸までやっとの思いでたどり着く事が出来ました。
そういえば今思い出したのですが、こんなこともありました。
ウインドサーフィンをしに行こうと、車3台でそれぞれにボードを上に積んで中央道を走っていた時のことです。最後尾を走っていたTの車が、いきなりバックミラーから見えなくなったのです。しばらく速度を落として走っていても追いついてこないし、これはなにかあったのかなと心配しつつ路肩の広くなっていた場所に車を停めてTの車が来るのを待ちます。そして待つこと15分ほど。やっとTの車が走ってきました。事故ったのではないかと心配していたので、本当にほっとしました。
遅れた訳を聞いてみたら、なんと車に積んでいたウインドサーフィンのボードが高速道路の上に落下してしまい、慌てて車を停めて拾いに行っていたとのこと。ボードを縛っていた紐がゴム系の伸びる奴だったので、風でボードが浮き上がってしまった様です。
後続の車がすぐ近くにいなくて、まさに不幸中の幸いでした。