私は登山とかカヌーとかのツアーに一人で行くことも多いので、山の中や川原や海辺で一人でキャンプしたりすることに関して、別に怖いとか感じたことはほとんど無いのですが、過去に何度か怖かった経験をしたことがありますので、今回はその話をしてみたいと思います。今年の夏は酷暑になるみたいな話もありますので、この話で少しは涼しくなってもらえたら幸いです(^^;
さて最初の怖かった話は冬山においてです。
私が冬山に登るのは年末年始または小正月の連休の時期が多いのですが、ある年予定がうまく合わなくて仕方なく2月下旬から3月頭にかけての頃の日曜日・月曜日で登ることになりました。
冬山ですが、夏は一緒に登る仲間がいるのですがさすがに冬山は誰も一緒に来なくなり(^^;、従いいつも一人で登っています。もちろん自分の技量と体力を判断して無茶な登山は避けるようにはしていますので、自分ではそんなに危険なつもりはないのですが、はたから見ると冬山登山というのは相当に危険なことのように思われています(^^;
冬登るのはいつも八ヶ岳です。
その時は美濃戸から入って行者小屋まで行ってキャンプで一泊し、翌日赤岳まで登ってそのまま下山という予定を立てていました。
八ヶ岳は人気のある山で、冬でもかなり登山者が来ていまして、特に年末年始にかけては夏と変わらないくらいのにぎわいを見せています。アプローチが短く、雪もそんなにどかっと降ることもなく晴天率が高く、山小屋もやっているところが多いのが人気なのでしょう。
私ですが、それまではほとんど年末年始か土日にかけてしか登ったことが無くて、日月で登るのは今回が初めてでした。
登り始めて早々、途中にいっぱい張り紙というか掲示があるのに気が付きました。それはつい先頃、阿弥陀あたりで遭難して行方不明になっている二人を捜すものでした。八ヶ岳も数年に一度ほど雪崩で遭難者が出ているのは知っていましたが、今シーズンも事故があったとは知りませんでした。
登るときには下ってくる登山者と結構すれ違ったのですが、行者小屋に着くともうひとんど人はいなくなり、てっきり今日も営業していると思っていた行者小屋も、ちょうど山小屋の人が戸締まりしてこれから山を一つ越えた赤岳鉱泉に向かうという所でした。
うーん、人が少ないだろうなというのは覚悟していたのですが、まさか本当にこの小屋&キャンプ場に誰もいなくなってしまうとは予想もしていなくてちょっとショックを受けました。でも天気も荒れる予報ではなかったし、今まで一人でキャンプは数多くしてきていますので、別に寂しいと言うこともないだろうと、とりあえずその誰一人いないキャンプ場に一人でテントを張って泊まることにしました。
夕方、周りが暗くなってくると、そうは言ってもだんだんと心細くなってきます(^^;
何かあってもこの周囲数キロには誰もいないのか...
ん、そう言えば阿弥陀で遭難した二人はもしかしてこのキャンプ場に近くに埋まっているのかも知れないなあ。
そう言えば今、向こうの方で何か物音がしたような。誰もいないはずなのに...
と思い始めると、怪談とか幽霊とか信じない私でも、さすがにかなり怖くなってきてしまい、その夜はとうとう小屋のトイレにも行けなくなってしまいました。
シュラフにくるまっていると、遠くで確かに物音がしています。さくっ、さくっと、誰かが歩いているような物音です。
きっと空耳に違いないとシュラフにもぐり込んで耳をふさぎますが、確かに物音はしていて、しかもこちらに近づいて来ています。心臓はどきどきで、もう生きた心地はしません。
すると突然近くから「ぎゃ〜〜〜〜」という叫び声が!
この時ばかりは心臓が止まるかと思いました。
その叫び声に続いてばたばたという羽ばたきの音がしましたので、なんだろうと思って覚悟を決めてテントから顔を出してみると...
なんとそれはカラスでした。そして先ほどの叫び声はカラスの鳴き声でした。
なんでこんなところにからすがいるんだと怒りながら、大声を出して追い払ったのでした。まあ、カラスがいること自体ちょっと怖いものもありますが、その時は幽霊じゃなかったという安心感で朝までぐっすり眠ることが出来ました。
では次回は無人島での不思議な経験を書いてみたいと思います。