IT資格の難易度について...
【最終更新日:2016年5月】
(古くなってしまった資格情報もありますので、近日中に内容を大改訂する予定です)
今までいろんなパソコン資格/IT資格を受けてきましたが、これからどの資格を目指そうかと考えている人から資格の難易度について聞かれることも多く、そんな皆様の参考の一つになったらいいなと思い、パソコン資格/IT資格の難易度の簡単な表を作ってみました。
あくまで私の個人的な主観に基づいていますので、一般的な評価と若干ずれがある場合もあるかもしれませんのでご了承下さい。(参考までに私の普段の主な仕事はシステムエンジニア、システム管理者の分野となっています。それにプラス時々開発者、ITコンサルタントという感じです。)
なおさすがに自分で受験してない資格の難易度はちょっと判断しかねますので、基本的に私が受験した資格だけ載せてあります。ただし一部、現在取得を目指しているもの、また下位資格につきましては、受験経験が無くとも参考ということでカッコ付きで載せてあります。もちろん全部合格しているわけでもありません(^^;。また基本的に私が受験した時点で感じた難易度を基本にしていますので、最新の試験の内容を反映していないケースも考えられますのでご注意下さい。
なお難易度ですが、単純に出題される問題の難易度だけではなく、有効な対策本の有無や試験機会の頻度などを総合的に判断しています。例えば1年に1回しか受験できない試験と何度でも繰り返し受験できる試験では、受験機会の少ない方をより高難易度に位置付けています。ただし有効な対策本ですが、最近一部試験で流出問題を扱ったと思われる高ヒット率のWeb問題集を暗記することで合格するケースも見受けられますが、そう言ったケースは問題外として全く考慮いたしません。
(図の中の資格名をクリックすれば、私の受験記のページが表示されます)
【一般ユーザ】
普通にパソコンが使える、パソコンで通常の業務が出来るというレベルが、MOS(旧名称MOUS)一般及びP検3級あたりではないかと思います。普通にパソコンを使えている方なら合格して当たり前のレベルです。逆にこれからパソコンを勉強しようという方が最初に目指す資格としてはお勧めできます。ちなみにMOSはあくまで特定のソフトの操作が出来るかのみを問うもので、P検3級はパソコンのハードからOS、ネットワーク、ソフトの使い方まで広く出題されます。
MOS上級も、対策本が無ければそれなりの難易度だと思いますが、今は対策本も豊富ですので、それを一通りこなせば合格ラインが見えてくるという意味で、そんなに難易度が高い試験ではありません。
P検の2級は実技もあり、意外に手強い試験です。個人的にはMOSより評価しています。そして同じくP検準1級は、試験の内容自体は難解と言うことは無いのですが、試験範囲が広大であること、そして対策本が少ないという点で、高難易度を付けてみました。チャレンジしがいがある試験です(^^;。
P検1級ですが、本来対象はシステム管理者的な位置づけになるのですが、内容的には一般ユーザの最上位という位置づけとしてとらえた方が良いかなと思い、こちらに入れていました。記述式の問題がある分だけ準1級より難易度を高くしてみましたが、準1級の合格者にとっては手を伸ばせば届く距離だと思いました。
一般ユーザがチャレンジする最も有名な資格が情報処理技術者試験のIPパスポート試験ではないかと思います。以前はエントリークラスの試験として初級シスアドが実施されていましたが、現在はそれよりさらに難易度の低いIPパスポートが入門向けの試験として実施されています。ITに関する基礎的な問題が多く即実務に生かせるという内容では無いのですが、でも基本的なことについての勉強が系統立てて出来るという意味ではお勧めできる資格ですし、ぜひ多くの人にチャレンジしてほしいと思います。情報処理技術者試験の中では一番合格率も高く、対策本をきっちりとこなせば十分合格ラインに到達できるはずです。逆にITで仕事をされている方ならば、普段の知識で十分合格できるはずです。(参考までに2009年秋問題を事前勉強等無しで解いてみたところ、92/100という結果でした。ミスをしたのはまぎらわしい問題で数問、ボンミスが数問という感じです(^^;)
情報処理技術者試験では2016年春より情報セキュリティマネジメント試験が開始されました。今まで一般ユーザがIPパスポートを受けた後に目指す試験が事実上無かったのですが、この試験は一般ユーザ向け(ただしチームリーダーの視点が必要)の位置付けとなっていて、初回を受けてみた感想としては難易度的にもITパスポートと基本情報の間くらいと感じました。ITパスポートの次に目指す試験としてぜひ多くの人に受けて欲しい試験です。
【スペシャリスト】
CADやDTPなど特殊分野に関した資格群をここに位置付けてみました。ちなみにこれらの資格を目指される方は少なくともその分野についてある程度の基礎知識があるはずであるという想定に基づいてランク付けしてみましたので、まったくの初心者がこの資格を目指そうとするとこの表より難易度が高くなってしまうかもしれません。
CAD利用技術者2級、DTP検定2種、アドビ認定エキスパート、VectorWorks技能認定あたりまでの試験は、普段その分野で仕事をしている人にとっては常識問題だと思います。難易度はそんなに高くありません。
CAD利用技術者1級は規定時間内に指定された図面を実際にCADで書かねばならないため、暗記が通用する試験ではありません。実際に日頃からCADソフトの操作に慣れていないと厳しいと思います。
DTPエキスパートは合格率だけ見れば4割前後と高いのですが、受験される方のほとんどが普段からDTP業務の第一線で活躍されている方ばかりであり、筆記問題の量の膨大さそして時間のかかる実技試験もあり、その苦労度を考慮してこのクラスでは高難易度にしてみました。
医療情報技師は医療機関における電子カルテ等のITシステムの知識や技術を問う検定試験で、2004年より開始された新しい資格です。情報処理技術、医療情報システム、医学・医療の3科目に合格する事が必要です。実際に電子カルテシステムに携わっている人にとってはもう少し難易度は低いと思いますが、私の様にSEという立場でこの試験を受ける場合は医学・医療だけでこの位の難易度になってしまいそうです。
【開発者向け】
開発者としては基本情報技術者がその名の通り基本となる資格だと思います。開発者なら基本情報技術者は最低限クリアすべきラインでしょう。ただし合格率も10%台ですので、これから開発者を目指そうという方にとっては、それなりにチャレンジしがいのある試験だと思います。
そしてその次にはぜひ応用情報技術者を目指してください。基本情報技術者よりさらに難易度が上がりますが、プログラムやアルゴリズムの良い勉強になるはずです。私自身もこのクラスの試験(実際に私が受けたのはその前身である第一種でしたが)の勉強を通して何かが吹っ切れたような気がします。
UMLモデリング技能認定試験のエントリークラスであるL1は、UMLの基礎を学ぶには手頃な資格だと思います。UMLを実際に使っている人にとっては常識問題です。その上位資格のL2は、UMLモデリングの理解度を問われるより難易度の高い試験となっています。
MCA Database(データベース)は、データベースの基礎を学ぶ第一歩としては手頃でしょう。ただしこれで仕事が出来るというレベルではありません。
XMLマスターベーシックは、XMLに関する基礎知識を問われる試験で、対策本をこなせばほとんど合格できてしまうと言う意味で難易度は低いですが、でもこれからXMLを勉強してみようという方が最初に目指すには手頃な資格だと思います。
VBAエキスパートは2003年からスタートした資格です。ExcelやAccessのVBAプログラミングに関する試験で、ベーシックはいわばその準備運動段階、スタンダードでやっと一歩か二歩を踏み出したレベルと言えます。これからVBAを勉強したいという方はベーシック、スタンダードと順を追って勉強するととっつきやすいでしょう。なおExcelとAccessを比べると、Accessの方が難易度が高いです。2005年より最上位資格のプロフェッショナルも開始されましたが、こちらはExcel/Word/Accessを含むオフィスシステムとしてのVBAの知識を問う内容となっていて、試験対策のための資料も少ないこともあって非常に高難易度の資格となっています。
オラクルマスターの資格ですが、問題が簡単と言うことは無いのですが、人気の高い資格と言うこともあって有効な対策本が豊富にあり、総合的な難易度はそれほど高くないと感じました。
FileMaker認定デベロッパは、国内では2006年にスタートした新しい資格で、データベースソフトのFileMaker Proに関する専門知識やスキルを証明する資格となっています。ファイルメーカ社自らが実施している資格です。ただし一般ユーザ向けの内容ではなく、AdvancedやServer
/Server Advancedを使った開発業務での知識を要求されます。
MCDBA(MCPの資格群の一つ)は、私が受験した当時は有効な対策本があまり無くかなり難しい試験でしたので、高難易度にしてみました。ただし最近は多少状況が変わって来た様な気もします。もう少し難易度を落としても良いのかもしれません。
一番上のデータベーススペシャリストですが、合格率が10%前後であること、また受験機会が年に1回しかないと言うことを考慮し最高難易度に位置づけてみました。
【ネットワーク技術者・システム管理者】
CompTIAのA+、i-Net+、Network+が下の方に並んでいますが、これは日頃からネットワークやシステム管理をされている方なら、ちょっと勉強すれば常識的に合格できるはずであろうという感触があったためです。これからネットワークを勉強しようという方にとってはもう少し難易度が高くなるかもしれませんが、ベンダーに依存しない内容となっていますし、最初の一歩としてお勧めできる資格です。Server+、Security+はCompTIAの資格の中では難易度の高い試験です。Server+はある程度のサーバの運用経験が無いとちょっと厳しいかもしれません。また最近注目のセキュリティ関連資格であるSecurity+も合格ラインが高く難しい試験で、広範囲の知識が要求されます。
MCA Platform(プラットフォーム)は、A+とNetwork+に重なるところの多い試験ですが、CompTIAと違ってベンダー試験ゆえにマイクロソフトよりの内容となっています。CompTIAの試験より若干やさしめに感じました。これからネットワーク系を勉強しようと言う方が、最初の一歩として目指すには手頃な試験だと思います。また上表には載せてありませんが、MCAセキュリティもMSプラットフォームに関するセキュリティを勉強する最初の一歩としてはお勧めできます。難易度はプラットフォームよりは若干難しく感じました。
アップル技術者認定資格ですが、一番下のグレードのアップル認定ヘルプデスクスペシャリスト(ACHDS)は、MacOS Xを使いこなしている人ならば対策本をこなすことで十分合格出来るものです。
その次のテクニカルコーディネータ(ACTC)はOS X Serverに関する試験に合格しなくてはならず、まだ有効な対策本があまりない点で若干難易度が上です。(ただ、いずれもエンドユーザ向け資格ではありません)
CCNAはネットワーク系の入門資格として非常に人気の高い資格です。ネットワーク全般に関する試験ではなく、あくまでシスコのネットワーク機器を対象とした試験となっています。覚えなくてはいけないことも多いのですが、有効な対策本もあり試験の難易度としてはそれほど難しいものではありません。
Linux系の資格として注目を集めているLPIですが、結構細かいところまで出るので、普段からLinuxをいじっている方でもきっちりと勉強しないと痛い目に遭うかもしれません。
ドットコムマスター(インターネット検定)は★から★★まで2つのグレードが用意されています。★★はそれなりに専門的かつ実務的な知識を問われるよい試験だと思いますが、難点は資格の知名度が高くない点でしょうか。
MCPですが、今最も人気の高い資格の一つだと思います。ここでは代表して難易度を一つで表現していますが、実際にはたくさんの試験科目がありそれぞれに難易度も異なります。比較的難易度の低いのがMCDSTで、MCAと本来のMCPの中間に位置する資格となっています。そしてMCPの試験を6つほど合格するとMCSE(マイクロソフト認定システムエンジニア)に昇格できます。ここまでくるとマイクロソフトのサーバやネットワークの理解度もかなり高まるはずです。
情報処理試験のネットワークスペシャリスト、情報セキュリティスペシャリストはデータベースと同様、合格率が10%前後であること、また受験機会が年に1回しかないと言うことを考慮し高難易度に位置づけてみました。その上には小論文が必要となるITストラテジスト、システム監査技術者などが位置づけられますが、試験の内容的に技術的な深い知識はそんなに要求されない代わりに小論文という壁があるゆえに難易度が高くなっています。小論文ですが、自分が満足できる論文ではなく、出題者が想定する内容で論文が書けるかどうかがポイントです。またシステム監査技術者、ITストラテジストは同じ課題だったとしても見る視点が全く異なります。この点を十分に理解しておく必要があります。
【財務・経営・コンサルティング】
このクラスの試験としてはとりあえずCompTIA e-Biz+、ITIL、FP技能士、日商簿記と日商販売士、ビジネス実務法務、中小企業診断士を、そして英語の試験であるTOEICも参考までに載せてみました。
CompTIA e-Biz+はe-ビジネスに関する資格で、IT知識に加えビジネス面の知識も必要ということで、こちらのジャンルに乗せてみました。
ITILはITサービスマネージメントに関するベストプラクティスであるITIL(Information Technology Infrastructure
Library)に関する認定資格で、現在注目度の高い資格です。ただ現時点では日本語試験としてはエントリーレベルの「ITIL Foundation」試験しか行われていないようです。
FP技能士はファイナンシャル・プランニングに関する国家資格です。3級レベルは一般の人でも役に立つ知識が多く、また難易度もそれほど高くありません。ただし覚えることが多いので、その意味ではちょっと大変かもしれませんが。
日商簿記3級は簿記の基礎と言うこともあって、きちんと勉強すれば十分合格できる内容です。2級になると工業簿記も範囲となり、勉強する範囲も広がります。そして1級になると専門職としての知識が要求され、勉強量も膨大で格段に難しくなります。合格率ですが、3級は40%前後、2級は30%前後、1級は10%前後となっています。
日商販売士ですが、販売士1級は店長、マネージャクラスを対象とした試験内容となっていて、販売の現場というよりは経営的な要素が多く、中小企業診断士とかなり重なる部分もあった為、それでチャレンジしてみたものです。
日商ビジネス実務法務検定試験は、2級が各部門の「法務担当者」
向けの内容となっています。ただし内容的に企業の管理職にある人は是非とも知っておきたい知識の範囲ということも言えます。難易度ですが、内容が法律面になりますので一般の人およびIT系の人にとっては決して勉強しやすい試験では無いのですが、でも合格率が20%台ということできっちりと勉強すれば合格ラインが見えてきます。
TOEICですが、これは合否でなく結果はスコア(10点〜990点)で表示されます。600点と730点について、自分にとっての難易度を表示してみましたが、個人的には730点が英語に自信が無い・自信があるの境界線の様な気がします。
個人的に最も難易度の高い資格に位置づけたのが中小企業診断士です。国が認める唯一の経営コンサルタント資格です。一次試験の合格率が15%前後、二次試験の合格率が20%前後で、トータルすれば3%程度の狭き門です。なにより試験範囲が広く勉強量が膨大で勉強には1年計画が必要であり、試験も1次、2次(筆記、面接)、実習と長期間にわたります。1次は勉強した時間に比例して得点が伸びると思いますが、2次筆記がこの試験の最大の難関で、あいまいな部分が多く何度受けてもいまいち手応えがありませんでした。