私が受けた1級について説明します。
試験は筆記試験(全8科目で、各科目とも100点満点、うち50点が客観式問題と呼ばれるマークシート、50点が記述式問題で構成される)と面接試験で構成されている。
なお面接試験については、実施している商工会議所により筆記試験の合格者のみ後日行う場合と、全員を対象に筆記試験に続けて行う場合があるようで、私が受けた松本では同じ日に実施されていた。
なお筆記試験については科目合格制度があり、70点以上取った科目については翌年、翌々年の試験の際に免除に出来る。(免除にせず試験を受けることも可能)
【1級】
商品計画と商品予算(100点)
仕入計画と在庫管理(100点)
経営とマーケティング(100点)
ここまで3科目合計の試験時間120分(休憩60分)
経営計算(100点)
市場調査と立地分析(100点)
組織と人事管理(100点)
ここまで3科目合計の試験時間120分(休憩10分)
販売計画と管理(100点)
情報化(100点)
ここまで2科目合計の試験時間80分
面接試験(特に時間の記載が無いが私が受けた時は約10分ほどでした)
合格ライン:筆記試験の得点が平均して70点以上でかつ面接試験で合格と判断された場合、ただし筆記試験で1科目でも50%未満がある場合は不合格
1級 2003年2月 不合格
1級 2004年2月 合格
【1級 2003年2月 不合格】
2003年2月19日受験
今年受験する予定の中小企業診断士の勉強に少しでもプラスになればと思い、この販売士1級の試験を受けてみることにしてみました。Web上でいろいろ調べてみた結果、中小企業診断士と販売士1級は試験範囲で重なるところも多く、相乗効果がかなり期待できるとの声が多かったためです。
試験勉強期間は約1ヶ月ほど確保してあったのですが、前半なかなかペースが上がらなかったのと2月上旬に忙しい仕事が入ってしまったこともあり、正直予定した三分の一くらいしか勉強することが出来ませんでした。
勉強の為に用意したのは、公式テキストでもあるカリアックの「販売士1級検定試験ハンドブック」と、エムエス経営研究所の「一級販売士 既往問題の研究(上下巻)」でした。
なお「販売士1級検定試験ハンドブック」の構成は以下となっています。
1巻 商業経営の基本、人事管理編(268P)
2巻 市場調査、仕入・在庫管理編(194P)
3巻 販売・財務管理、情報化編(272P)
販売士検定試験問題集1級編(過去2回分収録)
エムエス経営研究所の「一級販売士 既往問題の研究」は以下の内容となっています。
「一級販売士 既往問題の研究(上)」第25回〜29回/全問題と解答(232P)
「一級販売士 既往問題の研究(下)」 記述式問題の答案錬成と学習計画(201P)
カリアックのテキストですが、実に読みにくい文章となっていて勉強しづらく、 言い訳にはなりますが(^^; 前半全くペースが上がらなかったのはそのせいだと言っても過言ではありません。毎晩睡魔との戦いでした。(負けていましたが(^^;)
1級では 他に市販されているテキストが無いこともあり、実質的にほとんどの人がこのテキストを使って1級の勉強をするであろうことを考えると、もう少し分かりやすいテキストにして欲しいと感じます。
ただ実際の試験では70〜80%がこのテキストの範囲から出題されるという話であり、いくら読みにくいと言っても基本となるテキストであることは間違いなく、なんとか頑張って読んでみました。
ただやっと勉強のペースが上がってきたのが試験間近の頃であり、時すでに遅し。テキストを1回丁寧に読み、もう一度マークした箇所のみ読んだら、もう試験前日となってしまいまして、残念ながら過去問も既往問題の研究にもほとんど手が出ませんでした。
自分でも受かる可能性はほとんど無いのは自覚していましたが、でもありがたいことに科目合格制度がありましたので、1科目でも2科目でも合格できればとの思いから、とりあえず受験してみることにしてみました。
会場は松本の商工会議所です。地元の茅野の商工会議所では1級は実施していなかったため、やむなく松本まで出かけていきました。ちなみに販売士の試験は日曜日でなく平日に行われます。これは対象業種が小売業であり、かつ仕事で受験する人が多いことを想定してのことのようです。
試験当日、会場に入ると廊下に2、30名の人がいたので、予想以上に人がいるなあと思っていたら、ほとんどの人は同じ日に行われる販売士3級の試験に来ていたようで、1級の試験会場にはなんと受験用の番号の貼り付けられた席は2つしか用意されていませんでした。
筆記試験ですが、まず最初の3科目分(商品計画と商品予算、仕入計画と在庫管理、経営とマーケティング)の問題が3冊配られます。その3科目で120分です。1科目づつ40分で終わりではありません。つまりそのうちどれから先にやっても良いし、時間配分も40分づつで無くても構いません。
最初の3科目が終わると約1時間ほど昼食の休憩となります。
午後、再び試験が開始され、次の3科目(経営計算、市場調査と立地分析、組織と人事管理)で120分、そして10分の休憩をはさんで最後の筆記試験2科目(販売計画と管理、情報化)の80分で、やっと長かった筆記試験との戦いは終了します。ほぼ1日中下を向いていたので最後はかなり首が疲れました。
どの科目もマークシートの客観式問題が50点中35から良くて40点ほど、記述式問題が50点中20〜30点という手応えで、良くてもぎりぎり70点くらいかという低空飛行状態が続きます(^^;。ただ問題自体はとんでもなく難しいというほどではなく、テキストと過去問をもっときっちりやっておけばもう少し点が取れるのになという感触はありました。
予想通りこれでは合格はほぼ無理で、本当ならここで帰りたいところですが、この試験会場では引き続いて筆記試験を行うことになっていますので、万が一のことも考えて一応面接試験を受けてみます。
筆記試験が終わった後、しばらく席で待っていると係の人が呼びに来て隣の面接室に入るよう言われます。面接官の人は2名でした。
受験した動機や勉強方法を聞かれた後、私の業務について質問があり、それ以降はそれから派生した経営上の四方山話が多かったです。
そうそう、面接があると言うことで服そうをどうしようかと悩んだのですが、結局面倒だったのでジーンズにトレーナーというカジュアルなスタイルで行ってしまいました。服装で評価が変わるかは分かりません(^^;。
合格発表は4月1日にありました。やはり予想通り不合格でした。焦点は科目合格が何科目あるかという点でしたが2科目に終わってしまいました。
商品計画と商品予算 58点
仕入計画と在庫管理 63点
経営とマーケティング 47点
経営計算 43点
市場調査と立地分析 76点←科目合格
組織と人事管理 69点
販売計画と管理 43点
情報化 69点
面接 合格←科目合格
合計 468点
情報化は70点は取れていると期待していたのですが、記述式の文章があまり良くなかった様で残念です。
ちょっと悔しいので来年もぜひチャレンジしてみたいと思います。
使用した参考書
- カリアック「販売士1級検定試験ハンドブック」
- エムエス経営研究所「一級販売士 既往問題の研究(上下巻)」
販売士1級用のテキストで市販されているのはカリアックのものしか無いと思います。決して読みやすい分かりやすいテキストではありませんが、試験範囲をほぼカバーしていますので、頑張って読みこなすことが必要だと思いました。
問題集ですが、カリアックのハンドブックにも過去2回分は付いてくるのですが、もっとやりたいという場合には「既往問題の研究(上)」がお勧めです。過去5回分が収録されています。ちなみにエムエス経営研究所の発行している本は一般に流通しているものでは無さそうで、私は直接FAXで申し込みしました。
(有)エムエス経営研究所 販売士係 FAX 075-492-0297
「一級販売士既往問題の研究(上巻)」3000円
「一級販売士既往問題の研究(下巻)」3000円
上記以外にも1級用の対策本がいくつか販売されています。
「一級販売士直前対策・客観101)」2850円
「一級販売士直前対策・記述77)」2850円 など
受験される方へのアドバイス
不合格であまり点の良くなかった私が言うのもなんですが(^^;、問題自身はそんなに難しいというものではありませんでした。きちんとテキストを読みこなして自分の中で消化することが出来れば、十分合格ラインが見えてくると思います。カリアックのテキストは理解しやすい文章ではありませんが、頑張って何度も読んでみることが必要です。
なお中小企業診断士との相乗効果ですが、受けてみて確かに広い範囲でオーバーラップしていることを感じました。それなのに今回私の点数があまり良くなったのは、正直言って中小企業診断士の勉強がまだあまり進んでいないからでもあります(^^;。中小企業診断士の試験の後で受けると、その勉強した知識の範囲で販売士もかなり行けそうだという感じは強くしました。
【1級 2004年2月 合格】
2004年2月18日受験
昨年の受験時はあまりの勉強不足で惨敗しましたので、今年はこの試験を中小企業診断士試験の前哨戦と位置付けて、なんとしてでも合格を目指してチャレンジしてみることにしてみました。
昨年受験して、やはり公式テキストをきっちりとこなさないとだめだと言うことをつくづく感じましたので、今回は販売士1級の為の勉強期間として約1ヶ月ちょっと確保して、1月中旬から勉強を開始しました。
今回は、昨年使用したカリアックの公式テキストとエムエス経営研究所の「一級販売士 既往問題の研究(上下巻)」に加え、カリアックの「販売士検定試験問題集(1級)」の最新版(最近2回分の試験問題と解答が載っているもの)、及び同友館の「1級販売士キーワード解説138」を新たに購入し、当初はそれらをまんべんなくこなそうと勉強計画を立てました。
ところが公式テキストが私にとってはどうしても読みにくく(^^;、その3巻を一通り読み終わるのに2週間もかかってしまいました。それから焦ってペースを上げるものの、試験前日までに公式テキストをあと1回、「1級販売士キーワード解説138」を2回、目を通すのがやっとでした。結局、カリアックの最新問題集も「一級販売士 既往問題の研究(上下巻)」も、全く手つかずで終わってしまいました。
ただ昨年受けてみて、公式テキストをある程度きちっとこなしておけば、それなりの点数は取れるはずという感触を受けていましたので、試験の前日も最後にもう一度、公式テキストのチェックした部分をじっくりと目を通しておきました。
試験当日、試験会場にはいると、昨年と違って1級の受験者が7人もいたのにはちょっとおどろきました(^^;。
昨年「市場調査と立地分析」と面接は合格していましたので、今回はそれ以外の7科目の受験となります。
試験は昨年同様、午前は「商品計画と商品予算」、「仕入計画と在庫管理」、「経営とマーケティング」で120分、午後は「経営計算」と「組織と人事管理」で80分(「市場調査と立地分析」が無い分、他の人より40分早く退席しました)、「販売計画と管理」、「情報化」で80分でした。それにしても1科目受験しなくて良いというのは、それ以降の試験が楽になったのは確かです。
試験を受けた感触ですが、科目によって若干難易度の差はありましたが、平均すれば客観式で35〜40点、記述式で20〜35点位かなあといった感触でした。
記述式の問題ですが、全く分からないという問題は無く、基本的に全部記入できましたので、あとはどこまで評価してもらえるかでした。ただ「販売計画と管理」の記述式で、テキストとは無関係なマーケティング上の問題が出題されていたのにはちょっとびっくりしました。
また出題された問題も、公式テキストから出題されたのは全体の7割位かなと言う感じで、それ以外の問題もあちこち目立ちました。日頃から浅く広く、知識を吸収している必要があるなと感じました。
合格ラインのボーダーライン上にいることを感じつつ、合格発表を待ちます。
そして3月29日、私の受けた会場の合格発表があり、なんとか合格者リストに私の受験番号が載っていることが確認できました(^^)。
ちなみに科目毎の点数は以下となっていました。
商品計画と商品予算 68点
仕入計画と在庫管理 75点
経営とマーケティング 91点
経営計算 73点
市場調査と立地分析 76点←昨年の科目合格
組織と人事管理 72点
販売計画と管理 70点
情報化 75点
面接 合格←昨年の科目合格
合計 600点(合格ライン560点)
さて次はいよいよ本命である中小企業診断士です。夏に向けて頑張りたいと思います。
使用した参考書
やはりなんと言っても公式テキストであるカリアックのハンドブックが基本となると思います。読みにくいですが、これを最低でも数回は読む必要があるでしょう。
また昨年発売された同友館の 「1級販売士キーワード解説138」も、ポイントを押さえた参考書としてお勧めできます。試験範囲のカバー率は公式テキストより低いですが、重要なポイントを重点的にチェックすることが出来るので効率的です。
カリアックの「販売士検定試験問題集(1級)」の最新版と、昨年買ったエムエス経営研究所「一級販売士 既往問題の研究(上下巻)」もやってみる予定でしたが、時間的に全く手が出ませんでした。
受験される方へのアドバイス
販売士1級試験は、基本的には公式テキストをきちんとこなして覚えれば、合格できる試験だと思います。ただ範囲が広いので、テキストを全て丸暗記できるはずもなく、やはりじっくりと取り組む必要があると思います。
ちなみに私の場合は、過去の診断士受験2回、販売士1級受験1回の繰り返しで、少しづつ基本知識を覚えることが出来た面もあったと思います。
試験範囲が広くて勉強は確かに大変ですが、でもこの試験は勉強をきちんとすれば合格できる試験です。落とすための試験ではないことを今回感じました。(これに対して中小企業診断士の試験は落とすための試験だなと感じます(^^;)
ぜひ諦めずに頑張って下さい。