1. MacOS Xへの移行の理由
MacOS Xがリリースされてずいぶん経ちますが、私もやっと重い腰を上げて自分の環境を本格的にMacOS Xへ移行してみることにしてみました。
正直言って、自分だけでMacを使っている分には今までのMacOS 9.1で全然困らないのですが(と言うより今まで使っていたMacがOS
Xはインストールできない機種だった為に、OS Xを使おうと思っても使えなかったという現実もありました)、お客さんよりMacOS Xでのトラブル等について質問される事もあったりして、そろそろ知らないでは済まされなくなってきたなあというのを強く感じてきた事と、PowerMacintosh
G4 800MHzの再生品がアップルストアで安価に限定発売されたのを見つけて、思わず衝動的に購入してしまったことから、これを機会に自分の環境を全面的にMacOS
Xに移行してみることにしてみたものです。
2. MacOS 10.1.2とデータの移動
さてPowerMacintosh G4/800が手元に届きましたので、電源を入れて使用感を味わってみます。ちなみにこのモデルのプレインストールOSはMacOS
10.1.2と9.2.2で、デフォールトの起動OSは10.1.2となっています。今まで自分が使ってきたマシンがPerforma6420という数世代前のモデルだったこともあって比較するまでも無いのですが、実に動きがスムーズでこの点は大満足です。メモリも増設して512MBにしてありますので、今までのようなメモリ不足に悩むことも無くなりそうです。
MacOS Xも噂で聞いていたほど動作がとろくないので一安心でした。でもそうは言ってもMacOS X、G4 400MHz位のパワーが無いと苦しそうだなと言う雰囲気はありました。
早速、ここ数ヶ月ほどMacOS X移行を前提にバージョンアップしておいたアプリケーションをどさっとインストールしてみます。Photoshop
7、Illustrator 10、PageMaker 7、Acrobat 5、Flash NX、Dreamweaver NX、Fireworks
NX、ATOK 15、Norton System Works 2、Office:mac v.X、ファイルメーカPro 6、宛名職人
10など。
これらは私が普段メインで使っているソフト群ですが、さすがにほとんどがMacOS Xネイティブ対応済みですので、スムーズにMacOS
Xへ移行が出来ます。
次にこの新しいMacに、以前使っていたPerforma6420からデータやアプリなど必要なものを移さなくてはいけません。データは主にPerforma6420の外付けSCSI
HDDにありましたので、まずそのHDDをそのままG4 Macに接続してデータをコピーしてみることにしてみました。もちろんG4 MacにはSCSIポートが無いために、SCSI-USB変換アダプタ(ロジテック
LUB-SC2)を介して接続してみました。
ところがUSB経由でそのHDDを認識は出来たのですが、コピーしようとするとエラーがでてしまい、いろいろいじっていたらとうとうHDDが認識できなくなってしまったのです(マウントしようとすると初期化しますかと聞かれる状態)。このときはHDDのデータが全部飛んでしまったかとかなり焦りました。
G4 Macでは認識できなくなった外付けHDDですが、Performa6420につなぎなおしたら何事もなかったかのようにちゃんと認識できたのでほっとしました。結局、SCSI-USB変換アダプタ経由でのデータ転送は動作不安定につき諦めて、ネットワーク経由でのデータ転送に切り替え、待つこと数時間。なんとか必要なデータ等はG4
Macに転送することが出来ました。
ちなみに LUB-SC2ですが、MacOS 9だと複数のSCSI機器を接続できるのですが、MacOS Xだと1台しか接続できないことが分かり、この点はちょっとがっかりでした。
MacOS Xのデスクトップの大きな特徴でもあるドックですが、確かに凝っていておもしろいのですが、今までのMacで使っていたDragThingというランチャーに比べるとどうもいまいちでしたので、結局DragThingの最新版4.5.1をダウンロードして組み込み、こちらをメインのランチャーとして使うことにしてみました。ゴミ箱を今までみたいにデスクトップに出してもくれますし(^^)。
あと必要なユーティリティとして、エディタはJedit 4を、ノートユーティリティはNewNOTEPAD Proをダウンロードしてインストールしました。これらは以前から私の環境になくてはならぬソフトとして活躍してくれていまして、いずれも最新版はMacOS
Xネイティブ対応しています。
3. 周辺機器対応
さてアプリケーションはほぼMacOS Xへの移行が完了出来たのですが、次の大きな問題が周辺機器対応でした。たぶん仕事でMacをお使いの方がMacOS
Xへの移行を検討される際にもっとも大きな問題となりそうなのが、この周辺機器の対応の問題です。
たとえば私が使っているエプソンのレーザプリンタやインクジェットプリンタ、PSソフトリッパー、キヤノンのスキャナはいずれもMacOS
Xネイティブ対応のドライバがリリースされていないのです。事前にこの辺は調査して分かってはいた事なのですが、それにしてもあんまりじゃあありませんか。とにかく周辺機器のメーカにはもう一頑張りをお願いしたいところです。
こんな状態のまま、来年にはMacOS Xしか起動できないMacが出てくるとなると、自分で自分の首を絞めてしまう事態になりかねません(^^;。
とりあえずエプソンのレーザプリンタLP-8300S(LocalTalk用カード内蔵)はLocalTalk-Ether変換アダプタのネットワーク経由でClassicモード(言ってみればMacOS
X上でMacOS 9.2対応のソフトを動かすモード)のセレクタで認識することが出来ましたので、印刷が必要なものはXネイティブでなくClassicで使うことにしました。
同じくエプソンのA2 インクジェットプリンタMJ-8000Cですが、こちらは今までシリアルポート接続していた関係で、シリアルポートの無いG4
Macには簡単には接続できません。プリンタ内蔵のEtherカードを買うか迷ったのですが、とりあえずシリアル -USB変換アダプタを買ってみて、それでチャレンジしてみることにしてみました。(まだそのアダプタが手元に届いていないので、こちらは後日報告といたします)
キヤノンのスキャナがUSB-SCSI変換アダプタ経由で使えるかどうかも、またIBM WorkPad c3のシリアル接続のクレイドルをシリアル
-USB変換アダプタ経由で認識できるかも、後日報告と言うことで。
なんとか仕事用の印刷物は持っていたレーザプリンタでClassicから出力できるめどが立ったのですが、次の問題はFAX送信です。今まで仕事のFAXはMacから直接送信していて評判が良かったので、是非ともそれは新しいMacでも継続したかったのですが、これは私の調査不足でもあったのですが、なんとG4
Macに標準添付のFAXソフトFaxSTF 6はXネイティブではなく、かつClassicモードでは使えないと言うことが判明し、かなりなショックを受けました。FAX送信するためにはいったんMacをMacOS
9で再起動しないといけないのです。これでは使えないではないか!
そこでいろいろ調べてみた結果、どうやらFaxSTF
XというバージョンがXネイティブ対応しているらしいと言うことが判明しました。が、FaxSTF Xは英語版のみで国内サポートが無く、かつネット上で使えないとのトラブル報告も見かけるなど、どうしようか悩んだのですが、でも実際問題、1日に何度もあるFAX送信毎にMacの再起動はしていられないので、やむを得ず人柱になる覚悟でダウンロードしてゲット。早速インストールしてみました。ダウンロードしたのはMacOS
10.1.5までの対応のFAXstf X 10.0.5です。
FAXstf X 10.0.5ですが、インストーラを立ち上げてみたらメニューは全部日本語で、おまけにマニュアル類も日本語版が用意されていて、これなら日本語のOSでも使えそうとの予感を感じさせてくれたものの、残念ながら以下の不具合が出て丸1日いろいろいじったのですがギブアップしてしまいました。
・アドレスその他で日本語を使うとエラー
・送信時、ダイヤル後相手とのコネクション時に切れてしまう
・あちこちいじっていたら、ダイヤル動作をしなくなってしまった(モデムが常に通信中の状態)
もしかしてMacOS Xをアップデートしたら状況が変わるかもとかすかな期待を持ちつつ、ソフトウェアアップデートでOSを10.1.5にアップデートしてみたのですが、結局状況は変わりませんでした。
ちなみにMacOS 10.1.5ですが、10.1.2もそんなに使い込んでいたわけではありませんが、何が変わったのかほとんど気づかないほどでした。
さすがにMacOS Xをメインで使い出すと、印刷するときはClassicモードでMacOS 9用のアプリを使わなくてはいけないと言うのが相当に煩わしくなり、とうとう一時しのぎとしてXネイティブのドライバがリリースされているキヤノンのA4インクジェットPIXUS
550iを買ってしまったのでした。
4. MacOS 10.2へ
FAX送信が最重要課題となった今、次にしてみることはMacOS Xを10.1.5から10.2へアップデートしてみることでした。FaxSTF
Xは、10.1.5までの対応バージョンと10.2対応バージョンはダウンロードするプログラムが異なっていて、新しいバージョンの方だと状況が変わるかもしれないとの大いなる期待を抱かせてくれたためです。
またすでにMacOS X 10.2のパッケージを購入していたこともあって、個人的にもそろそろ10.2へ移行したいなと思っていたこともありました。(10.2への移行の一番の足かせはNorton
System Works 2が10.2上ではいろいろ不具合があったためで、10.2対応のアップデータが10月に出るとされていましたので、そのアップデータのリリースを待っていたと言うのが実情でした)
なんとかNorton System Worksのアップデータもリリースされましたので、Nortonのアップデート後、いよいよOSの10.2へのアップデートを行うことにしてみました。
OS 10.2(通称ジャガー)はCD 3枚組の構成で、そのうちインストール関係は2枚となっています。
上書きインストール(アップデート)を選択してインストールを開始すると、最初インストールにかかる時間が2時間以上と表示されてびっくりするも、結局全部で50分ほどで完了し、無事MacOS
10.2で起動してきてくれました。
ただ起動時に残念に感じたのは、Macの起動時には過去から今まで常に表示されていたニコニコMacが、単なるシンプルなアップルマークだけになってしまったこと。どうやらこれは今後のアップルの方針のようですが、ちょっとだけ寂しい気持ちになりました。
10.2を最初に使ってみた感想としては、全体的な動作がわずかに遅くなったような感じを受けましたが、でもネットワークがかなり機能アップしてランデブーは結構使えそうな感じです。またQuartz
ExtremeもこのMacではある程度効果が出るはずですが、まだいまいち実感がありません(^^;。
プリンタ関係はアップデート後もう一度組み込み直す必要がありました。 FaxSTF Xは10.2対応のFAXstf X 10.0.8アップデータをダウンロードしてインストールしてみました。祈るような気持ちでFAX送信を実行してみたところ、なんとこのバージョンでは全く問題なくFAX送信を実行する事が出来ました。
どうやらMacOS 10.2とFAXstf X 10.0.8という組み合わせは相性が良さそうな感じです。
以前は問題だった日本語の扱いについてもアドレスで日本語を使ってもエラーにはなりませんでした。ただしちょっとしたことですが、ファイルメーカProの書類をFAXした際に、上の方が若干切れてしまうという現象は確認しました。
あと私の環境だけかもしれませんが、モデムセンターのモデムの設定で、音量をデフォールトの中から高にした方が動作が安定するような気がしました。
なおFAX受信ですが、私は受信はするつもりは無いので試してありません。
5. MacOS Xの感想
こうして約2週間ほど使ってきたMacOS Xですが、使い勝手は確かにMacOS 9.*と比べるとずいぶんと違いますが、でも操作の違い自体は3日で慣れました。多分Macを使ってきた方なら、ほとんどの方はすぐ慣れるはずです。
それよりもつくづく感じたのはBSDを基盤としているその抜群の安定性です。実際に使ってみて、OSまで落ちることはほとんど無くなったのではと感じました。これはMacOS
9の頃には考えられなかった事です。
ただしシステム・管理面では、MacOS 9の頃とずいぶんと変わりました。使いやすさと使いにくさが変に同居している感じで、この辺はまだ慣れません(^^;。
自分が作った書類以外は移動したり削除していいものか判断がつかないし、またソフトのインストールはインストーラがついていて便利なのに、アンインストール機能が無いのは変だと感じました。
とりあえずMacOS Xの第一弾の報告はここまで。また近日中に続きを報告したいと思います。
6. MacOS Xその後 2002/11/02
その後の周辺機器等に関する動作確認の続報です。
【USB直接接続】
メモリカードリーダ メルコ MCR-U2
MacOS X:MacOS X用のドライバが無いために使用できず
Classic:Classicモードでも認識できず
MacOS 9.2:MacをOS9.2で起動すれば付属のドライバで使用可能
【ネットワーク接続】
プリンタ エプソン LP-8300+Lanカード
MacOS X:現在のところMacOS X用のドライバ無し
Classic:使用可能(ただしバックグラウンド印刷機能オフ)
MacOS 9.2:使用可能
【USB-シリアル変換】KeySpan USA-28X
Palmクレイドルとの接続 IBM WorkPad c3付属のシリアル接続クレードル
MacOS X:MacOS X対応Palmデスクトップにて接続OK(ただしKeyspanのPort1だけ)
Classic:使用できず(もしかするとMacOS X側のKeyspanドライバを外せば使えたのかもしれないが)
MacOS 9.2:問題なし
プリンタ エプソン MJ8000C
MacOS X:現在のところMacOS X用のドライバ無し
Classic:使用できず(もしかするとMacOS X側のKeyspanドライバを外せば使えたのかもしれないが)
MacOS 9.2:使用可能(ただしKeyspanのPort1だけ、バックグラウンド印刷オフ)
携帯ほいほい(携帯電話とシリアルポートを接続してデータ転送するソフト)
MacoS X:MacOS X用のアプリケーション無し
Classic:認識せず
MacOS 9.2:使用可能
【USB-SCSI変換アダプタ】ロジテック LUB-SC2
(注意)このアダプタはMacOS XではSCSI機器を複数接続出来るSCSIエミュレーションモードは使用できず、USBディスクモード(1台のみ接続可能で、かつMO、HDDのみ対応)のみ使用可能です。
MO ロジテック LMO-640E
MacOS X:USBディスクモードで特にドライバ等組み込むことなく認識
MacOS 9.2:B's Crewにて問題なく使用可能
HDD メルコ U-SDAT6.4GB
MacOS X:USBディスクモードで特にドライバ等組み込むことなく認識
MacOS 9.2:そのままで認識
スキャナ アップル Color OneScanner 600/27
MacOS X:現在のところMacOS X用のドライバ無し
Classic/MacOS 9.2:ClassicまたはMacOS 9.2のPhotoshopのプラグインにて使用可能
(OEM元のキヤノンのサイトよりDownloadしたScanExpert 3.0が使えました)
【USB-ADB変換アダプタ】REUDO USB2ADB
(注意)このアダプタはMacOS 9.2で起動したときのみしか使えず、Classic/MacOS Xでは駄目でした。またこれをつないでいるとMacOS
Xでマウス操作がちょっとおかしくなるため、使わないときははずしておく必要があります。
QuarkXpressのドングル
Directorのプロテクタ
SIIタブレット
MacoS X:現在のところMacOS X用のドライバ無し
Classic:いずれも認識できず
MacOS 9.2:いずれもOK
7. DVD-R/RWドライブへの交換 2003/5/15
最近DVDが見られないのはちょっと寂しくなってきましたので(^^;、PowerMacintosh G4/800の内蔵ドライブをCD-R/RWからDVD-R/RWに入れ替えて見ることにしてみました。
用意した内蔵用ドライブはロジテックのLDR-42AKというドライブです。
内蔵型DVD-R-RW ロジテック LDR-42AK
DVD-R:4倍速、DVD-RW:2倍速、DVD-ROM:12倍速
CD-R:16倍速、CD-RW:8倍速、CD-ROM:32倍速
Mac対応:MacOS X 10.2.2以降
Mac対応とはなっていますが、特にMac用のドライバなり書き込みソフトが付属しているわけではなくて、純正のDVDプレーヤやiDVD、iTuneなどを使うようになっています。
ちなみに正式対応でないそれ以前のOSでは使えるかについてですが、某所のPowerMacintosh G4/733のMacOS 9.2で試してみたところ、DVDプレーヤでDVDは見ることが出来ましたが、DiskBurnerでは書き込み時にドライブが認識できないとエラーが出て、書き込みできませんでした。
さてドライブ交換後、Macを起動してAppleシステムプロフィールで確認してみると「PIONEER DVR-105」と認識されていました。
さて早速DVDでも見ようかとDVDを入れてプレーヤを捜してみたのですが、なんとDVDプレーヤがどこにも無いのです。変だなあと思いつつ、アップルのサイトで見つけた「Apple
DVD Player 3.1.1」をダウンロードしてインストールして見るも、インストールの直後にエラーが出て、結局全く使えませんでした。
これは本格的に変だぞとドライブに付属していた薄いマニュアルを読み返してみると、以下の注意書きがあるのにやっと気が付きました。
● DVDが最初から搭載されていない機種は純正のDVDプレーヤはインストールされておらず、DVDドライブを取り付けた状態でOSの再インストールを行う必要があること。
● アップルのサイトの「Apple DVD Player 3.1.1」はMacOS X 10.2には対応していないこと。
うーん、そういうことだったのか。でもたかがDVDプレーヤ一つのためにOSを再インストールするのも面倒なので、インターネット上で他に対処方法はないものか調べてみたところ、Pacifistというsharewareを使えばインストール・イメージの中からDVDプレーヤだけをインストール出来ることが分かりました。
以下はその手順です。
(1)Pacifistをダウンロードし、起動する。
(2)「パッケージを開く」ボタンを押して、Mac OS X Install Disc 1の中のSystem/Installation/Packages/Essentials.pkgを開く。
(3)Essentials.pkgの内容が一覧表示されるので、「Applications」の中の「DVD Player.app」を選び、「インストール」ボタンを押す。
これで「アプリケーション」フォルダに「DVD Player 3.2」がインストールされます。
なんとかDVDが見られるようになりました。
ただ残念なことに 「Apple DVD Player 3.1.1」を間違ってインストールした頃から頻繁にカーネルパニック(画面上にシステムエラーのテキスト文字が表示されるもの)が発生するようになってしまいました。つい先日、OSも10.2.6にアップデートしていますので、その辺でなにか相性の悪いものが出てきている可能性もありますので、この件についてはもう少し調査を続けてみたいと思います。
(2003/05/20追記)カーネルパニックの件は、その後電源を一度落として再起動した後はほとんど出なくなりました。それとついでに情報を一つ追加しておきます。MacOS
Xに正式対応していないプリンタに出力するためのテクニックが以下のホームページに紹介されていました。参考になるようでしたら。
GNU
ghostscript7.05 for MacOSX 10.2による印刷方法